こんにちは!さわ子です。
今回は、有名な名作であり、誰しも大人になる前に(大人になってからでも)、一度は読んでいただきたい作品を紹介します。
それがこちら
『三びきのやぎのがらがらどん』
(作:(ノルウェーの昔話)/訳:瀬田貞二/出版社:福音館書店)
インパクトと勢いがクセになる絵本です。
それでは、この作品の魅力を紹介していきますね!
目次
絵本『三びきのやぎのがらがらどん』のあらすじ
「がらがらどん」という名前を持つ大・中・小のやぎたち。
ある日、みんなで草を食べに行こうとして、山を登ることにする。
しかし、途中の谷川の橋の下には、おそろしい化け物「トロル」が住んでいた。
トロルは、自分の橋を渡る者を食ってやろうと待ち構えていたのだ…。
北欧民話を元にした絵本。
ヤギとトロルのやりとりで、ハラハラドキドキさせてくれるお話です。
三びきのやぎのがらがらどんの見どころ

では、この作品の見どころポイントをご紹介します!
インパクトのある絵。キャラのビジュアルがすごい
絵が強烈。
私が初めてこの絵本を読んだ時は、たしか4〜5歳だったと思いますけど、そのときの強烈なインパクトは今でもよく覚えてますね。
絵が強烈。(2回目)

トロルのギョロッとした目と、天狗のような鼻と、黒い穴に吸い込まれそうな口…。
もし、部屋を暗くして、絵を見せながら、実力派声優が迫真の演技で「がらがらどん」を読んだら、泣く子は泣くんじゃないかってレベル。
トロル(トロール)とは北欧の妖精であり、必ずしも悪者ではないです。
『アナと雪の女王』でも、おちゃめなおせっかい妖精として出ていますし。
しかし、この『三びきのやぎのがらがらどん』では、ヴィラン(悪役)側として登場しています。
また、なにげにヤギのビジュアルもインパクトあります。
子ヤギや中ヤギの見た目はかわいいんですが、大ヤギがめちゃくちゃ迫力あるんですよね。
まさに、この物語の主役にふさわしい貫禄が備わっています。

「最強vs最恐」の手に汗握るバトル!大やぎvsトロル戦!
この作品で、最大の見どころといったらここでしょう!
クライマックスの大やぎvsトロル戦!
(以下ネタバレになりますので注意!)
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ヤギたちを食ってやろうと待ち構えているトロルですが、子ヤギと中ヤギも狙われるわけです。しかし、
子ヤギ「もう少し待てば、ぼくより大きいがらがらどんが来ますよ」
中ヤギ「後からやってくるがらがらどんのほうが大きいよ」
機転を利かせて、二匹はうまくトロルの魔の手から逃れます。仲間を売ってんじゃないよ。
そしていよいよやってくる大ヤギ。
他の二匹が橋をカタコトガタゴトと可愛らしく揺らしていたのに比べて、
がたん!ごとん!がたん!ごとん!
轟音を響かせてやってくるあたり、こいつ只者ではない感が出ています。
そして、いよいよトロルが「貴様を一飲みにしてやるぞ!」と大ヤギの前に立ちふさがるわけですが
大ヤギ「おまえを粉々にしてやる!!(意訳)」
始めから戦闘態勢MAXです。おっ?いいのかこれ。子供向けの絵本だぞ?
そして2頭は取っ組み合い──

トロル…。
この絵本が何がすごいかって、描かれてるシーンは凄惨なんですけど、
絶妙なイラストでグロを感じさせないところです。
絵を描いているのはマーシャ・ブラウンさんという方ですが、絵のバランスを意識されていると感じます。
こうして大ヤギvsトロルの戦いはヤギ側の勝利に終わり、三匹のがらがらどんたちは無事に草をいっぱい食べることができたのでした。
めでたしめでたし。
いや、子ヤギと中ヤギは何をそんな「みんな無事でよかったねー!」みたいな顔を…?
仲間売ってたじゃん。身代わりにしてたじゃん。
それともそういう作戦だったのか?そうかもしれない。
秀逸なストーリー展開。起承転結や山場の盛り上げ方は参考になりそう

この『三びきのやぎのがらがらどん』は、物語の展開が非常に優れています。
作品における「山場」は前述した「大ヤギvsトロル戦」なわけですが、そこへ至るまでの盛り上げ方が実にうまいんですね。
最初のハラハラポイントは、子ヤギとトロルの出会いです。
一番始めに遭遇する「ピンチ」であり、かよわい子ヤギと化け物のやりとりにハラハラさせられます。
次のピンチは、もちとん中ヤギとトロルの出会い。
いわば、「つなぎ」の場面です。
2番目のピンチですが、パターン化がわかっていることもあり、読者は一種の安心感を覚えながら、中ヤギを見ていられるわけですね。
そして同時に、「次はいよいよ大ヤギがやってくる」という読者の期待を盛り上げる「つなぎ役」にもなっています。
そして、いよいよ山場がやってきます。
満を持して登場する大ヤギ。
「おれだ!おおきいやぎのがらがらどんだ!」
2ページ見開きで登場です。
あたかも歌舞伎の「見得を切る」がごとく、派手な演出で現れます。
ここで、読者は「キターーーーーー!!!」「よっ、待ってました!!」とばかりに盛り上がるわけです。
その後は、ヤギ側が勝ってめでたしめでたし!完!となります。
シナリオやストーリー作りにおいて、「山場」はもちろん、「山場へのつなぎ(徐々に盛り上げていくこと)」も非常に重要だとされています。
『三びきのやぎのがらがらどん』は、その点において、1つのヒントとなるのではないでしょうか。
訳者は『指輪物語』や『ホビット』で有名な瀬田貞二さん
この絵本を翻訳したのは、映画化もされた名作『指輪物語』や『ホビット』も訳しておられる瀬田貞二さん。
まさにファンタジー界の大御所です。
擬音語やセリフなど、言葉選びに細やかなセンスが光っています。
「がらがらどん」の名前の意味は?

「がらがらどん」って、そういえばどういう意味なんだろう?
「どん」は「西郷どん」とかの「どん(殿が転じたもの)」だと思うけど…。
と思ったので、ググりました。
原題のヤギの名前である「Bruse(ノルウェー語で「うなり声」という意味)」部分を固有名詞なので訳さない(ブルーセ)か、擬音風に意訳したか(がらがらどん・ドンガラン)の違いである。
引用:Wikipedia
『三びきのやぎのがらがらどん』は、原題はノルウェー語で”De tre bukkene Bruse”(英語版は”The Three Billy Goats Gruff” )です。
「がらがらどん」に当たるのが、原題では「Bruse」、英語では「Gruff」であり、
Gruffには「しわがれ声(どら声)」「荒々しい」などの意味があります。
本当にそのまま訳すなら「三匹のしわがれ声の雄ヤギたち」とでもなるのでしょうが、これではあまりにも直訳ですからね。
「しわがれ声」→「がらがらした声」→「がらがらどん」
となったと思われます。
子どもにも覚えやすく、リズムのいい名前で、翻訳した瀬田貞二さんのセンスが素晴らしいです。
『となりのトトロ』に登場!?サツキとメイが読んでいる
スタジオジブリの名作映画『となりのトトロ』。
実は、作中にこの物語が登場しています。
エンドロールで、サツキとメイがお母さんに読んでもらっている絵本。
この絵本のタイトルが、なんと「三匹の山羊」なんです。
『三びきのヤギのがらがらどん』という作品名ではありませんが、表紙のイラストを見てみると、
- モンスターらしき生き物
- モンスターの頭上にかかる橋
- その橋を渡る雄ヤギの姿
うん、がらがらどんですね!
今度トトロを観るとき、ぜひチェックしてみてくださいね。

「トトロは、北欧の妖精であるトロルが元になっている」という話もあります。
このような、ちょっとしたつながりを見つけていくのも面白いですよ。
まとめ:絵本『三匹のやぎのがらがらどん』は、多方面から楽しめる作品
絵本『三匹のやぎのがらがらどん』は、北欧民話であり、バトルアクションであり、ストーリーラインが素晴らしい物語であり、ジブリ作品に登場など、ちょっとしたトリビアも面白い絵本ですよ。
世代を超えて愛される名作を、ぜひ読んでみてくださいね!
あ、でも、読み聞かせのときは、迫真の演技のあまり、お子さんを怖がらせすぎないように気をつけたほうがいいかも?
今回も最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
それでは!